第4回 教えてウメッティ!
子どものサッカーで悩んだ時に開く100の扉」

 
 
大切なのは〝勇気〟が持てるようにサポートすること。 
 
苦しい事から逃げ出したりしない〝勇気〟 
 
自分の力、可能性を信じることが出来る〝勇気〟 
 
ぼくがジュニアに伝えてきたもの。 
 
それは……。 
 
上手くなるためには、頑張らなければダメ。 
 
上手くなるためには、他の事は犠牲にしなければ無理。 
 
「~はダメ」 
 
「~はムリ」 
 
とにかく、すべて否定から入っていた。 
 
否定されて、勇気が沸いてくる人なんていない。 
 
自分だって同じなのにね。 
 
勇気を持つことの素晴らしさを伝える。 
 
「頑張る」は、つらい事ではなく、楽しい事なのだと。 
 
どうにかして伝えたいな。 
 
まだ自分に、 
 
「パパ!ウルトラマンごっこしてよ!」 
 
と、サッカーの時以外は、無邪気にジャレついて来てくれるうちに。 
 

 
教えて、ウメッティ! 
 
うちのジュニア、小1の頃から必ず、集団の逆サイドに向かうの。
たとえば左サイドにみんな固まってボールの奪い合っていたら必ず右サイドで待っている。
 
 
チームに良いボランチがいれば、プレーは活かしてもらえるのにね(笑)。 
 
最近はチーム活動がメインになってきたから、少し様子も変わってきたけど。
でも、基本は変わっていない。消極的というか。
「せっかくボールが回って来ても簡単にパスを出してしまうのはどうなのかな」と。
本人は
「ワンツーで抜こうと思ったから」
と言っている。
でも、小学3、4年レベルのサッカーだと、ボールを渡したら二度と戻ってこなかったりする。
3年生の終わりにJ下部を受けた時も、そうだったのね。
まわりはみんなガツガツ。「俺が俺が」でドリブルしているのに、ひとりだけワンタッチパスを出していた。
でも、それじゃ受からない。
 
 
うーん。でもですね、セレクションに合格する事と、いい選手になることは必ずしもイコールではないですよ。日本代表全員が香川選手では、勝てないと思いますよ(笑) 
 
まあたしかにね……。 
 
逆に小学3、4年生でワンタッチパスができるなんて凄いですよ。
ボールが来る前に周りが見えているという事でしょ。
全然それは気にする必要はない。
カテゴリーが上がれば、プレッシャーも早くなって少ないタッチでプレーしなければならないわけですから。 
 
 
そうだね。 
 
「なぜ仕掛けないのか」 
「なぜシュートをしないのか」 
と、たしかに思うことはあります。 
でも、まず大事なことは、 
「本人がどう考えて、そのアクションを起こしたのか」。 
じゃないですかね。 
自信がないのか、見えていなかったのか・・・、
コーチは現象からからその原因を探り改善の方向を示すというか提案することが役割です。
良い悪いと評論するだけなら、〝コーチング〟とは言えませんよね。 
 
そうだね。そうやって言われると、頭では理解できるんだけど。ついつい、自分の子供の事になると熱くなってしまい……。反省しなきゃな。 
 
 
 
チームの方針としてポジションを固定することについてはどう思う?
固定したほうが戦術を教えやすいから、チームの勝利を目指すならば、結果が早く出せるよね。
 
 
僕自身は、指導者が目の前の勝敗のために子どものポジションを固定してしまう事は、良いとは思いません。
たとえチームが負けるような事になったとしても、指導者は子どものプレーが生きる場所、その子の成長につながる場所に配置してあげて欲しいですね。
あるいは苦手なポジションも良い。
チームの勝利も大切ですが、子供たち一人一人の状態を見極めたうえで、例えば、自信をなくしているならば最も得意なポジション、向上心にあふれている何でも吸収するような状態なら苦手なポジションなど、その子の成長や将来を優先してもらえると、親としてもサッカー界としても嬉しいですね。 
 
実際、少年団、クラブチーム問わずに、チームのスローガンとして「育成」を挙げているチームが、ほとんだよね。
でも実際は、「育成」という言葉だけが独り歩きしていて、実情が伴っていないケースが多い。
そもそも、指導者自身が何を持って「育成」なのか、本人もじつははっきりしていない。
強豪チームになればなるほど、「育成」と言いつつ、メンバー固定の勝利至上主義(笑)。
勝つことで学ぶ事も、もちろんたくさんあるけど、じゃあ、試合に出られない子たちは、いつ成長すれば良いのか。成長するチャンスは、上手な子もそうでない子も、平等にあるべき。
とか言いながら、僕自身、もし指導者の立場ならば、やっぱり勝つためのメンバーを組むかもしれない。
ウメは、アルビのスクールでコーチもしているけど、指導する上で、どういう事を意識している?
 
 
僕自身が特に気意識していることは2つあります。一つは、「子どもにコーチのアイデアを押し付けてはいけない」という事、もう一つは人と比べてどうかという総体評価ではなく個人の成長に注目した絶対評価視点を持つことです。
 
そして
そのミスは心理的なものか、技術的なものか。
その原因を取り除いてあげることで、子どもは自信を持つ。
自信をもてば、また積極的にアクションを起こす、改善する。
この繰り返しが重要だと思います。
 
 
たしかに、教える側が根気強く出来なければ、まだサッカーを始めて間もない子どもたちが根気強く取り組む気持ちになれるわけない。
怒られてばかりいたら、大人だって嫌になる、確かにね……。
 
 
僕らが向き合っているのは〝子ども〟ですからね。
完成されサッカーや普通の大人がするような行動、考え方を、育成の現場に持ち込んではいけないと僕自身は思っています。 
 
ジュニアに、
「どうして自分で仕掛けないの?」
と聞いたら、
「ボールをとられるのが嫌だから」
と答えた。
もちろん、まわりが見えている部分もあるのかもしれない。
けど、やっぱり小学生年代は、「多少わがままなプレーだとしても、持ち過ぎているくらい気が強くないと先は厳しいかな」みたいに思ってしまうんだよね、親としては。
それはね、うちのジュニア、2年生まではドリブラーだったのに、最近は消極的なプレーばかりが目立つから・・・。
 
 
パスは消極的なプレーでしょうかね。
ボールを失いたくないという考えは、消極的とは、一概には言えないと、僕自身は思うんです。 
 
というと? 
 
パスでもドリブルでも、ミスを経験することでそのプレーのリスクを学ぶ。
そして改善し成長する。もちろん成功すれば自信になる。
だから「どんどん仕掛けなさい」とコーチは伝える。
 
でも、消極的に見えるのは、じつはすでに
「ボールを奪われるリスクを理解している」
というふうに考えることは、できないでしょうか。 
 
 
 
子供の時からエリアごとでやるべきプレーというのを理解させることは大切だと思います。最終ラインにいるのに、ドリブルで相手に向かって行けば失った瞬間、一気にピンチになってしまう、という事は知っておくべきです。
ただ、「ドリブルはダメだ」と言ってはいけません。挑戦とリスク管理のバランスの中で子供の判断を促すのが理想ですね。
去年、スペインのあるクラブを視察しました。
U8(8歳以下)の選手でも、攻撃エリアではドリブルやパス、守備エリアでは少ないタッチでプレーしていたのは印象的でした。
特に危険なシーンでは迷わずタッチに蹴りだしていました。 
 
日本では「簡単に蹴りだすな」、「前を向け」という指導するコーチも少なくない。ドリブルやポゼッションに執着する指導も見かけることがあります。
もちろんプレーの優先順位やサッカーの原則はあります。でも、ぼくはその時、 
 
「年齢に関係なくエリアに応じたベストなプレーを選択することが、サッカーをするという事だ」 
 
と理解しました。
モウリーニョは「一流のピアニストになるためにピアノの周りを走り回ったりはしない。ピアノを演奏することで上達していく。サッカー選手もサッカーをすることで上達する」と言っていました。ぼくもそうだと思います。 
 
つづく….
 
 

ブログ:ウメッティ日記

 

◀◀第3回 第5回▶▶

 

コメントを残す

 

 

 

これらのHTMLタグが利用可能です

<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>