最終回 教えてウメッティ!
「子どものサッカーで悩んだ時に開く100の扉」


 

幼稚園でサッカーを始めた息子。
6年が経ち、いよいよジュニアユースのセレクションが始まりました。
先日、某Jリーグ下部組織のセレクションにチャレンジ。
結果は……。
 
一次敗退。
 
小学2年生の冬、初めてセレクションを受けてからもうじき4年が経ちます。
あと一歩でJリーグ下部組織が届きそうだった初めてのセレクション。
来年こそは……。
 
でも結局、6年生になった今日までどこにも合格出来ず、
トレセンにも選ばれる事なく来ました。
 
いろいろな事がありました。
子供の気持ちを置き去りにして勝手に熱くなっている自分に気付いて
「子供を変える前に、まずは親である自分が変わらなければ」
と思い始めた『教えてウメッティ!』の連載。
ただ、簡単には変われませんでした。
最近ようやくです。
 
大切なのは
強豪クラブに入ることでもサッカーの技術が上がることでもなく
〝サッカー〟という競技を通じて人として成長してゆく事”
 
そして、サッカー以外のさまざまな経験を積み重ねることが、
結果的にはフットボーラーとしても成長してゆく力の源になるのだ、
と理解出来たのは。やっとたどり着いた答え。
 
いや、答えだけならばもう随分と前からわかっていたような気がします。
わかっていながらも過去の息子の姿、活躍していた頃の姿を忘れることが出来ず、
悶々としていたバカな親がいました。
本当の意味で子供を見守ることが出来るようになった。
そう思ったらジュニア年代もあとわずかになっていました。
 
先日の某Jリーグジュニアユースのセレクション。
二次通過者発表はその場で発表されました。
たまたま一緒になった友達は合格。名前を呼ばれなかった息子。
 
「パパ、ごめん……」
 
力なくそうつぶやくと、息子は泣き始めました。
 
「ごめん……」
 
謝る必要なんて全然ないのに……。
謝らなければいけないのは、むしろ自分の方です。
もっと最初からいっしょにサッカーを楽しむことが出来ていれば……。
 
なぜサッカーという競技はこれだけ世界中の人々を熱狂させるのか。
その理由を親子で探ることが出来ていれば……。
 
セレクションのミニゲーム。
息子は最初から選外グループに分けられていました。
選抜歴がある子たちのグループにはバインダーを持ってメモをする大勢の関係者がいました。
息子のグループのまわりには球拾いの係だけ。
選考外グループのセレクション開始。
相変わらず球際では逃げてしまったり、得意だったはずのドリブルも、かつてのような輝きはありません。
それでも息子は懸命に走り続けていました。
どれだけ得点しようともチェックされません。
でも最後まで諦めず一生懸命に頑張っていました。
ならば、それで十分です。
 
きみは合格です!
 
いま心からそう思えます。
元気で、健康で、好きな事があって、それがどれだけ感謝すべき事か。
そしてそんな息子の姿を見守れる事が、親としてどれだけ幸せな時間か。
 
「パパ、行ってきます!」
 
息子は元気な声でそう言うと
今日もボールと一緒に出かけて行きました。

 


 
 
ウメッティからダメ親父さんへ

 
 

「早く食べろよ」
「こぼしてんじゃん」

 
連載のきっかけは、この一見何気ない親子の食事中の会話からでした。
 
「なぜ早く食べなければいけないの?」
時間はたっぷりあるのに・・・
 
「なぜ溢してはいけないの?」
おいしそうに食べてるじゃない・・・
 
“しつけ“のつもり?
“その”しつけって、誰のため?
子どもが、いわゆる“いい子”だと親の気分がいいからでは?
 
小学1年の子どもに対して、食事の場でも1から10まで指示命令をするお父さん。
僕は、そのお父さんに対しての「なぜ?」があふれ出してきたました。
「それって大人の都合の押しつけでは?」
「子どもにとっての最優先はおいしく楽しく食べる事では?」
“子ども“に触れるということは、”未来“に触れるということです。
未来を担っていくのは間違いなく彼らなのですから。
 
その未来を、誰かに言われなければ考えることも行動もできなかったりする人たちに任せられるでしょうか。
 
このやり取りをきっかけに、実はマインドが共通しているサッカーチームの「コーチのかける言葉」や「親がかける言葉」、そして子どもに触れる際の考え方に話が膨らんだものです。
僕たちは幸せですよね。サッカーで人生を学べるのですから。
突き詰めれば、サッカー選手になることも、いい大学に入学することも、芸能人や国会議員になることも、サラリーマンになることも、決してゴールではないと思っています。
 
「目の前のことに全力で取り組むこと」
ムラのある取り組み姿勢が信頼を得られるでしょうか。
 
「仲間を大切にすること」
いづれサッカーをやめたら友情以外に何が残るでしょうか。
 
「結果を受けてまた立ち上がること」
成功も失敗も学習。結果を活かして初めて成長するのではないでしょうか。
 
誤解を恐れずに言えば夢をかなえる事さえも、ゴールではないと思うのです。
地位や名誉、肩書を得ようとする夢ならなおさらです。
我々大人の役割は、将来を担う人を社会に送り出すことではないでしょうか。
 
この主人公である自称“ダメおやじ”さん。
当初は本当に頑固おやじでした。
「やれよ! 行けよ! だめじゃん!」の連発。
そして「プロになりたいんだろ!だったら……」
と半ば自分の希望を無理やり子どもの希望にすり替えて押し付ける。
視野が狭くなってしまっていたんですね。その気持ちよくわかります。
「なりたい。したい」と言いながら、努力しない(ように見える)子どもを観るとイラッとする気持ちもよくわかります。
でも、本当にそうなりたいのでしょうか。本当に努力していないのでしょうか。
 
そのリスクを負うのは一体誰なのでしょうか。
 
一つ一つじっくりと“ダメおやじ”さんと話しました。
 
相手に変わってほしければ、自分がまず変わりましょ。
立派な大人になってほしいと思うなら、あれこれ口を出さずに見守りましょ。
 
子どもは小さな大人ではありません。
だから大人の感覚を子どもに当てはめてないか振り返ってみましょ。
子どもは子どもであることを楽しむべきです。
 
年下で、ともすれば「生意気」とも言われかねない僕の話を、目線を合わせてしっかりと聞いてくれました。
子どもの話、親の話、コーチの話……。
回を重ねるたびに、一番変わっていったのはお父さんでした。
(以下、お父さんの言葉)
 
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「2年生で受けたJクラブのセレクションで最終選考まで残ったことで、よりムキになってやらせようやらせようとしていた。それが子どものやる気を奪っていたことに気づかずに……。
 
6年生になった今は、セレクションも1次でアウト。でも今なら、そんなことはどうでもいいってハッキリ言える。だって自分で気づかない限り本物の技術や気持ちは得られないもんね。
 
大事なことは明日に繋がる“気持ち”だって気づいたよ。気づかせてくれたのは息子。良かれと思って、あるいは応援と称して自分の気持ちを押し付けていた。それに対して息子は反発したり、あらゆるものを避けたり、いろいろなリアクションで気づかせてくれたよ。
 
指示命令、押し付けは親にも子にも、極端に言えば社会にとっても一つもいい事がないってね」
 
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「聞く耳」
 
「観察する眼」

 
大人も子どもも、「これは本当に重要なことだな」と思いました。
僕は15年間、サッカーをプレーすることで生活をしてきました。
そして引退して来年で10年も経ちます。
そんな僕にとって、いま最も頼りになるのは
「どんなプレーをしたか」
ではなく、
「あの頃こうだったね。お互い頑張ろう」と今になっても心を開ける仲間の存在です。
 
つまり「本当の友情をどれだけ築けたか」ということ。
 
ですから、最も身近なコーチであるお父さんお母さんもどうか、
「勝った、負けた」、「いいプレーをした、しなかった」などで勝手に一喜一憂しないで下さい。勝手に子どもの優劣を決めつけないで下さい。
子どもたちは親の楽しみを満たす持ち物ではありません。
 
 
一緒に笑って
 
 
一緒に泣いて
 
 
もし不安そうにしていたら、遠くからうなずいてあげてください、
 
 
「大丈夫!」と。

 
 

おわり….
『おしえて!ウメッティ』の連載はこれで終了になります。
長い間、お付き合いくださいましてありがとうございました。

 
 

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