中澤佑二 横浜F・マリノス スペシャルインタビュー

高校までは平凡な選手だったが、ブラジル留学を経てプロ選手という夢を叶え、日本を代表するディフェンダーとなった中澤佑二選手。埼玉・川口市のミズノシュン君(4年)、東京・青梅市のカタオカハジメ君(6年)、東京・青梅市のカタオカジュン君(3年)のサッカー少年3人が横浜F・マリノスのクラブハウスを訪ね、留学していた頃のこと、試合に入るときの心構え、ディフェンスのコツなど、たくさんの質問を中澤選手にぶつけ、答えてもらった。

 

何歳からどんなきっかけでサッカーを始めましたか?

小学校6年生。みんなと同じぐらいだよ。サッカーを始めるっていう友達に「一緒にやらない?」と誘われて、じゃあ、俺もやろうかなと思って始めたんだ

なぜ、ディフェンダーをやろうと思ったんですか?

サッカーを始めて最初の3ヶ月間はフォワードをやっていたんだけど、その間に試合でたくさん負けちゃったんだ。それで監督に「背が大きいヤツはみんな後ろを守りなさい」って言われたのがきっかけ。本当はフォワードやりたかったんだけど、身長が結構大きかったからだね。

プロの選手になろうと思ったのはいつですか?

中学3年生だから15歳のとき。その翌年にJリーグというサッカーのプロリーグが開幕するというニュースを見て、その瞬間にプロのサッカー選手になりたいって思ったんだ。それまでは日本にプロのリーグはなかったんだよ。
◆中澤選手は埼玉の吉川東中学、三郷工業技術高校と進み、卒業後はブラジルにサッカー留学をしました。

どういう理由でブラジルに留学したんですか?

中学校のときからプロサッカー選手になりたいと思っていたんだけど、高校のとき、Jリーグのチームから「うちに来てください」という声がかからなかった。カズ(三浦知良)さんがブラジル留学をして、プロになって日本に帰ってきたというのを知って、「俺もJリーグからの話が何もないから、カズさんのようにブラジルに行って活躍して、ブラジルでプロのチームと契約すれば、Jリーグのチームから話が来るんじゃないか。だからとにかくブラジルに行くことによって、プロサッカー選手という夢へのトレーニングになるかな」と考えて留学しました。あと、ブラジルはサッカーが世界一強くて、すごい上手な選手がたくさんいるというイメージがあって、そういううまい選手をディフェンスで止めてやろうと。世界一の選手たちを止めれば、俺は世界一のディフェンスになれると思ってブラジルを選んだんだ。ヨーロッパに行くことは考えなかったね。

言葉が通じないのは、つらくなかったですか?

つらかったよ。ブラジル人はポルトガル語を話すんだけど、こちらがポルトガル語を話せないからといって、日本語で話してくれるわけではないし、ずっとポルトガル語で話しかけてくる。でも俺は英語も話せなかったから何していいかわからない。そのうちブラジルの選手たちに「こいつには言ってもわからないな」って無視されていくわけ。最初の3ヶ月は話が全然通じなかったから、同じ練習しててもパスは回ってこないし、ただ一緒にいるだけ。だからすごいつらかったね。
◆約1年後に日本に帰国し、練習生を経てプロ選手という夢を叶えます。

チームでの練習時間はどれくらいですか?

チームのみんなでやる練習は、長くてだいたい2時間ぐらい。あとの空いている時間を自分でどういうトレーニングをいないといけないかを考えて、自主的に筋力トレーニングをしたりランニングをしたり、シュートやパスの練習をしてる。そういう時間を入れると、2時間以上だね。

リフティングは何回できますか?

俺、リフティングはあまりできないんだよなぁ(苦笑)。みんなは何回ぐらいできる?ハジメは500回?マジで?俺はそんなにできないなぁ。ディフェンスはボールが来たら、ドーンって蹴っちゃうだけだからね(笑)。でも、試合で浮いたボールをファーストタッチで思ったところに置けるように、リフティングでボール扱いをきちんとできるようにしておくのは大切なことだよ。

試合前に必ずやることはありますか?

神様に向かってお祈り…とかはやらないよ(笑)。プロに入ったばかりの頃は、周りの選手を見ながらいろんなことをやろうとしたんだけど、しっくり来るものがなくて、そのうち自然にいる方がいいんだな、リラックスすることが自分には合ってるなと気づいたので、今は試合前は何もしていない。大切なのはいつも通り過ごすことだと思う。グラウンドに入ってから集中力を高めるように、頭のスイッチを入れていく感じかな。音楽を聴いたり、黙々とリフティングをやっている選手もいるから、どうやったら良い集中をして試合に入れるかは、人それぞれで違うはずだよ。

試合前の験担ぎはありますか?

ふざけて若い選手にボールを当ててる(笑)。…は冗談で、験担ぎは何もしていないね。リラックスしているだけ。グラウンドに入ってチームメイトと円陣を組んで、「よし、頑張ろう」ってスイッチが入るんだ。食事に関してもあまり気にしていなくて、毎朝、カレーを食べてるよ。験担ぎでも何でもないんだけどね。

試合が始まるとき、フィールドにいる選手たちはどんな声かけをしているんですか?

日産スタジアムなどのホームでやるときは、たくさん見に来てくれるマリノスサポーターのために、たとえば「試合開始から飛ばしていこう」とか「ホームだから絶対勝とう」とか話してる。アウェーゲームでは逆に相手がそう来るから、「押されないように強い気持ちでやろう」とか。あとは「足がつるまで走ろうぜ」とか「楽しちゃダメだぞ」っていう声かけをしているね。

今までで一番印象に残っている試合は?

うーん、これって言うのは難しいかな。2003年にJリーグで優勝した試合は印象に残ってるし、2004年浦和レッズとのチャンピオンシップも印象深い。きっとみんなが知らない試合だよね。でも、どの試合も印象に残ってるよ。

目標にしている選手はいますか?

この人っていう選手はいないんだ。昔はカズさんが好きだったけど、カズさんはフォワードでしょ。俺はディフェンダーだから目標とは違うんだよね。しいて言うなら、いろんな選手を見てきて、うまい選手のとくに良い部分だけを目標にしてやってきた感じです。

僕はサイドバックなんですが、ディフェンスはどのような練習すれば強くなれますか?

小学校や中学校では、あまり気にしなくていいと思うよ。ディフェンスだから何をしないといけないっていうんじゃなくて、ボールテクニックやボールフィーリングなど、小学校のときにもっとも身につくことがあるから、とにかく今はたくさんボールに触るようにした方がいい。サイドバックだから身体の使い方はこうとか、たくさん走れるようにするっていうのは、高校生になってからで十分だね。サッカーはボールを持っていれば負けないスポーツ。ボールを取られちゃうからディフェンスしなきゃいけない。だからボールテクニックを小学生の時期に身につけておくと、大きくなってからすごく役に立つんだ。

相手に攻められているとき、どうやって守るんですか?

小学校のサッカーだと、みんなが前に上がっちゃうことが多いかな。大事なのはセンターバックやボランチが、残っている相手のフォワードにしっかりつくこと。2人残っていたらそれぞれにマークについて、さらにもう1人が余っているのが一番良い。前に上がっているチームメイトに「上がりすぎ。ちょっと戻って」と声をかけることも大切だね。自分たちの攻撃がうまくいかなかったときに、後ろからコーチングして(声をかけて)うまくポジションを取り、ボールが来たらアタックする。アタックに失敗したら、余っている人がそれをカバー。その間にアタックに失敗した選手も戻る。その繰り返しをきちんとやれば、それほどたくさん点を取られることはないはずだよ。

僕はチームでキャプテンをやっています。中澤選手がキャプテンだったときのチームをまとめる秘訣を教えてください

俺がキャプテンだったとき、俺よりも年齢の上の選手がたくさんいたから、まとめるっていうことは実はあまりやっていないんだ。やったことと言えば、優勝というチームの目標に向かって、まず自分が率先して練習したり声を出すこと。ただ走るようなきつい練習でも、「頑張って走ろう」って楽しそうにやることで、他の選手も頑張ろうかなって気持ちになってくれたと思う。だから、どんなにきつくても自分が楽しそうに一生懸命やれば、必ずみんなもついてきてくるはずだよ。

最後に子供たちにメッセージを

みんなはプロサッカー選手になりたいのかな? もし目指しているんだったら、死ぬほど練習して、死ぬほど勉強もしてほしいな。サラリーマンになって毎日満員電車で会社に行くのは大変。サッカーできつい練習する方がいいでしょ?(笑)それは冗談だけど、たくさん練習しないとね。友達がこれだけ練習していたら、自分はもう少し多く練習する。そうやってちょっとずつ差ができていくんだ。でも、他の町の子供たちはもっと練習しているかもしれない。だったらもっと、もっとやらないと。プロの選手はみんなそうやってプロになれたんだ。練習すればプロになれる。そう信じて頑張ってください!

感想

■ハジメ
中澤選手は思っていたより明るかった。頭も良さそうだった。印象的だったのは、練習をたくさんしなきゃいけないって言われたことと、中澤選手はあまりリフティングができないということ。
■ジュン
楽しかったし、中澤選手がやさしかった。
■シュン
中澤選手は堂々としていた。たまにふざけたりするところがイメージと違った。

2012年8月 インタビュー


 

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